1.はじめに
私は、お医者さんでも製薬会社の回し者でもありません。
ただの「うつ病患者」です。そこをご理解の上、お読みください。
私の「うつ病歴20年目」の経験から書いている部分も多く含まれています。
1-1 うつ病を知ろう
まずはじめに、「うつ病」とはどんな病気かを知ることからはじめましょう。
「うつ病」とは、気分が大きく落ち込む、何にも興味が持てない、喜ぶことができない、このような症状が一日中ほぼ毎日、あるいは2週間以上続いて、仕事や日常生活などに困ることが出てしまう病気です。
“心の症状”ばかりでなく、“身体の症状”が合わさって現れることもあります。
“心の症状”としては…
・抑うつ気分(うつうつした気分)
・不安や焦りの気分
・消えてしまいたい、どこかに行ってしまいたい
・興味や喜びが持てない
・意欲が低下する
・自分を責めてしまう
・本を読んだり会話をしても内容が頭に入ってこない
“身体の症状”としては…
・睡眠障害、眠れない
・食欲がない、過食してしまう
・疲労感や倦怠感がひどい
・動機や息苦しさ、口が渇く
・身体の痛みがある(頭痛など…)
※ 日本では約70数万人~100万人が「うつ病」になっているとも言われている「身近な病気」でもあります。
1-2 「自死願望」の有無を確認する
最初に確認することは、「自死願望」があるかどうかを確認することだと思います。
「うつ病」は、よく「心の風邪」などと言われることがあります。
私は、これはまったくの間違いだと思っています。
何故かと言うと、一番簡単に「死ぬ」病気でもあるからです。
一番簡単に、自ら「死」を選んでしまう病気でもあるのです。
ですから、一番最初に確認することは、「自死願望」があるかどうかを確認することが必要なのです。
しかし、本人はそのことを隠そうとします。人に気づかれないようにします。
ここが、この病気の一番難しいところなのでしょう。
1-3 「うつ病」と「自律神経失調症」の違い
「うつ病」と「自律神経失調症」の違いは、「うつ病」は病気であり、「自律神経失調症」は状態のことを言います。
つまり、「うつ病」は病名であり、「自律神経失調症」は自律神経が乱れた「状態」のことを言うのです。
「うつ病」については、1-1の「うつ病を知ろう」に書いた通りです。
「自律神経失調症」は、日本心身医学会では、次のように定義しています。
「種々の自律神経系の不定愁訴を有し、しかも臨床検査では器質的病変が認められず、かつ顕著な精神障害のないもの」
元住吉こころみクリニックのサイトより引用
・様々な自律神経症状が認められること
・検査で身体疾患が見つからないこと
・明らかな精神障害が認められないこと
この中の「不定愁訴」とありますが、「不定愁訴」とは、
不定愁訴(ふていしゅうそ)は、臨床用語で、患者からの「頭が重い」、「イライラする」、「疲労感が取れない」、「よく眠れない」などの、「なんとなく体調が悪い」という強く主観的な多岐にわたる自覚症状の訴えがあるものの、検査をしても客観的所見に乏しく、原因となる病気が見つからない状態を指す。
ウィキペディア(Wikipedia)より引用
「自律神経失調症」の治療に使われる薬を調べてみましたが、抗うつ薬や精神安定剤、睡眠導入剤など、私が飲んでいる薬とさほど変わりはないようです。
その他にも、「うつ病」と「自律神経失調症」の違いは、「落ち込みが病的に深くなっているかどうか」もあるようです。
うつ病かどうかを自己診断する「チェックシート」は、「うつ病」で検索すると色々な病院などが出てきます。
その多くに「自己診断シート」や「チェックシート」が掲載されています。
ご心配な方は、一度試してみてもいいのでは…?
1-4 うつ病になるかならないかの分水嶺
「うつ病」になるかならないかの分水嶺は、いったいどこにあるのでしょうか?
まずは、「分水嶺」とは何かの説明をしなければなりませんね。
「分水嶺」とは、雨水が異なる水系(川)に分かれる場所(山・峰)のことです。
物事の方向性が決まる分かれ目の例えとしても使われています。
「うつ病になるかならないかの分水嶺」とは、「うつ病」になってしまうか、ならないかの分かれ目ということになりますね。
「うつ病」になってしまった人には、人それぞれの「分水嶺」があったのだと思うのです。
私の場合で言えば、会社内の人事異動が「うつ病」になったきっかけの一つだと思っています。
私は、あるプロジェクトを推進するために、その部署に異動になりました。
そのプロジェクトを進めようと頑張っている中で、政治家の思惑や他の企業のトップの一言でコロコロと方向性を変えられてしまいました。
政治家や他の企業のトップの人たちの手のひらの上で、まるで弄ばれているかのようでした。
私は、自分の無力さを思い知らされました。
私は、そのような偉い人たちに対抗する術がありませんでした。
いくら仕事を頑張っても、どうにもならないことがあることを知ったのです。
それまでの仕事が、あまりにも順調だったので、気がつかなかったのです。
私の場合、ここに「分水嶺」があったのだと思っています。
私は「世の中は、所詮こんなものなんだから、仕方がないさ!」と思えば良かったのです。
しかし、私は「こんなに頑張っているのにどうしてそうなるんだ!」と思ってしまったのです。
私は、そんな政治家や企業のトップに腹が立ちました。その怒りはいつまでも収まりませんでした。
そして、私は眠れなくなりました。それでも仕事には行かなければなりません。
自分の力ではどうにもならないプロジェクトを進めるために…!
不眠は、さらにひどくなり、結局「うつ病」になってしまいました。
私の「分水嶺」は、仕事に行き詰ったときの「考え方の誤り」にあったのです。
「うつ病」になるかならないかの分水嶺は、人それぞれあるでしょう。
分水嶺に逆らわずに、素直に流されればいいと思っています。