私は、眠れない夜を過ごし、明け方に眠りについた時に夢を見ます。
その夢の中には面白い物が多く、一人で味わうのが勿体ないと思っています。
そこで、このブログで紹介しています。
今回のタイトルは、「貧乏な男」です。
~ 序章 ~
あなたは、食べ物を奢ってくれと言う人から逃げたことがあるだろうか?
あなたは、パチンコで全財産の5千円が2千円になって、冷や汗をかいてやめたことがあるだろうか?
あなたは、「あなたの物じゃありませんか」というまったく心当たりのない財布の落とし物を「はい」といって受け取ったことがあるだろうか?
あなたは、その日の夕食代を浮かすために、10駅分歩いて帰ったことがあるだろうか?
その浮いたお金で菓子パンを買うかカップ麺を買うか本気で悩んだことがあるだろうか?
あなたは、お腹が減りすぎて水ばかり飲んで、お腹から「チャプン、チャプン」という音が聞えて、近くにいた人から笑われたことがあるだろうか?
このお話は、そんな貧乏な男の物語です。
貧乏過ぎる男
私は、40歳。職業は無職です。…と言っても、時折日雇いの警備員をしています。
しかし、私に仕事が回って来るのはせいぜい週に1回あるかどうか。
アパート代や光熱水費は滞納していて、督促状を何とかすることで頭の中はいっぱい。
携帯は安いものを使っていますが、これまた滞納気味です。携帯がないと警備の仕事が受けられないので、こればかりは滞納ばかりしてもいられません。
そのため、節約できるのは食費だけ。
こんな生活をしているので、冒頭で書いたようなことが起こるわけです。
それらの内容をもう少し詳しく紹介しましょう。
ある日、警備の仕事帰りに珍しく近所の定食屋さんで食事をしてお店を出たところで知らない男に話しかけられました。
その男はフラフラした足取りで私の前に立ち、「何か、食べ物を奢ってくれませんか?」と言ってきました。私と同年代でしょうか?汚れた作業着を着ていて、定職についているような感じには見えませんでした。
私は、その場から思いっきり走って逃げました。人に奢るだけのお金が財布の中に入ってなかったからです。例え数百円入っていても人に食事を奢るだけの余裕はありません。
今日だってたまたま警備の仕事が入ったので、久しぶりに定食屋さんで食事ができたのですから。
また、ある日には、パチンコで何とか少しでもお金が増えないかという夢のような甘い考えが湧いてきて全財産の5千円を持ってパチンコ店に入りました。しかし、すぐにお金は減り始め、あっという間に残りが2千円になり冷や汗をかいてやめました。今のパチンコでは5千円で勝とうなどと考えるのがそもそも間違いです。分かっていたのに欲をかいてしまいました。
また、その日ドラッグストアで安い物を探してウロチョロしていて人とぶつかりました。そのとき「あなたの物じゃありませんか?」と財布を拾った親切な人が声をかけてくれました。しかし、どうみても私のものではありません。その落とし物が財布だったので「はい、ありがとうございます。」といって受け取り、急ぎ足でドラッグストアを後にしました。ドラッグストアを出て少し走ったところで中身をみてみましたが3千円しか入っていませんでした。
ちょうどパチンコで負けた分を取り戻したことになり、少しだけホッとしました。悪いことをしたという意識は、3千円が戻ってきたという理由で消え去ってしまいました。
でも、ドラッグストアには防犯用のカメラがあるはず。あのドラッグストアには二度といけません。私の住んでいるアパートにとても近くて、とても安かったのに3千円盗んだことで行けなくなりました。長い目で見ると損をしてしまったのかも知れません。
またある日、週に1回あるかどうかの警備の仕事が終わって、家に帰ろうとしましたが、なんだか電車賃がもったいなくて、10駅分歩いて帰りました。当然定期は持っていません。警備の現場は毎回変わるので、その日の現場がどこになるか分からないからです。もちろん定期券を買う余裕などないのですが…。
大通りを真っ直ぐに西へ向かうと家につくだろうと単純に考えていましたが、それが大きな間違い。歩いても歩いても家のある町には着きません。
そして、3時間以上歩いてようやく家にたどり着きました。
家の近くで夕食を買おうとしてその浮いたお金で菓子パンを買うかカップ麺を買うか本気で悩みました。警備の仕事で働いたお金は、アパート代や光熱水費の督促代、そして携帯電話の使用料に充てなければなりませんから。
3時間歩いて電車賃を浮かして手にしたのはカップ麺1個でした。
また、警備の仕事で働くとお腹が空きます。お腹が空くと水を飲んで我慢をします。水ばかり飲み過ぎて、警備の仕事をしながら、お腹から「チャプン、チャプン」という音が聞えることもあります。まったく知らない人から笑われたこともありました。
警備の仕事は日払いなので、仕事が終わったら、お腹の「チャプン、チャプン」という音からは解放されます。
クレジットカードが作れないか携帯で調べましたが、昨年度の収入が少なすぎて申告もせず、収入を証明するものがなくてクレジットカードを作れなかったことがあります。
もし作れたとしても、それは自分の首を絞めるような類いのカードでしょう。
家族がいないわけではありませんが、遠くに住んでおり、また縁遠くなってしまい、今更お金を無心するわけにもいかない事情もあります。
家族は私のことを心配していないのだろうか?
「便りがないことは良い知らせ」とでも思っているのかも知れません。
実家が貧乏ってわけではなくて、私個人が貧乏なのです。それも家族の中で唯一私だけが…。
現実と変わらないやん!
私が見た夢はここまででした。
目が覚めてホッとしましたが、よくよく考えてみたら「現実とあんまり変わらんやん!」と一人笑いをしてしまいました。
貧乏であること、お金がないことは人を卑屈にします。それが我慢できないほどであれば…。
現実の私はそのボーダーラインの辺りにいるのかも知れません。
私は「うつ病」のためにまともにお仕事ができません。
憎き「うつ病」が20年以上私から離れてくれないからです。
周りの人から見たら、きっと私はこの「貧乏な男」のように見えているのでしょうか? 何だか悔しいです。ホントにもう!