私は、眠れない夜を過ごし、明け方に眠りについた時に夢を見ます。
その夢の中には面白い物が多く、一人で味わうのが勿体ないと思っています。
そこで、このブログで紹介しています。
今回のタイトルは、「大工さんの逆襲」です。
施主の横暴
私は、ある工務店に勤めている30歳
日頃から社長に「お客様第一」と言われていて、お客様に文句の一つも言えないのがツラいところ。
今度のお客様は特に酷かった。
20歳代の若者にして、どうしたらあんな物言いしかできないのか不思議なくらいです。
お客様の名前は本仮屋雄一。27歳で普通のサラリーマンです。
それは契約の段階から始まっていました。
施工代金の値切りに始まり、あらゆるものをサービスで付けろと言ってきました。
そして「俺の言うとおりに作ればいいんだ。契約書なんて形だけだろ。」と言う始末です。
契約の担当者から要注意人物として社内の各分野に連絡がありました。
私に刃が向かってきたのは、施工に入って壁紙を貼る工程になってからのことでした。
壁紙が気に入らなかった本仮屋は、壁紙の変更を要求してきました。
最初の段階で壁紙も了承を貰っていたにも関わらず、次のようなことを言って難癖をつけてきたのです。もちろんすべて上からの物言いです。
「施工代金を支払うのは俺だ。壁紙の変更程度のことをしてくれても当然だろう。」
「壁紙は全体を見なければイメージができないだろ。そのくらい分かれよ!」
「お金を出すのは誰だ?私だろう!若造のくせに言い訳するな!」このような感じです。
私が働いている会社は、亡くなった先代が興した会社で、その当時から働いているベテランも多いのですが、そのベテランの大工に対しては、
「お前たちは誰のおかげで飯が食えるんだ?お前たちは俺の言うとおりにすればいいんだ。」
「年寄りに家が作れるのか?台風が来たら倒れるんじゃないか?」
「年寄りが家を建てると辛気臭い家になるんじゃないのか?匂いに気をつけてくれよ!ああ心配だ。」って感じです。
そして工事が進むにつれ、本仮屋の要求はますますエスカレートしていきました。
手直しに次ぐ手直し。細かい細かい注文などは当たり前。気に入らないところは徹底的に変更を要求してきました。
ここまで言われると完全に大工さんを始め会社の社員全体の堪忍袋の緒が切れました。
変更契約の締結
施工の変更があまりにも多くなり過ぎたため、変更契約を交わすことを本仮屋に伝え、何とか了承してもらいました。
しかし、この「変更契約」に契約担当者から大工さん・左官さん・壁紙担当・塗装担当などに至るまで、工務店ぐるみ・下請け業者ぐるみの逆襲が始まったのです。
変更契約の契約担当者は、契約書の一部に
「施主の助言を最大限に生かし、細部に渡るまで施主の了承を得ること。」を加え、最後に「細部まで施主の意見を尊重するために、引き渡し後はいかなる変更にも応じません。」という一文を盛り込みました。
そして、保証で直せるスレスレの線で保証が効かないように契約の内容を書き換えました。
さらに、「引き渡し後3か月に限り、施工者に瑕疵があった場合には修正を行わなければならない。」の項目を削除しました。本仮屋に気づかれないように…。
つまり、本仮屋の要求通りの家を作り、細部まで確認をしてもらう。その代わりに引き渡し後はいかなる変更・手直しの要求にも応じないといったものでした。
本仮屋は、自分の意見が通ったものと勘違いして変更契約を締結しました。
「引き渡し後にはいかなる変更にも応じません。」の部分は、後から何とでも言って修正させようという甘い考えだったに違いありません。 「俺の指示通りにすれば良い」と言う本仮屋の言い分を逆手に取った変更契約の内容です。
大工さんの逆襲
ここからベテランの大工さんの逆鱗に触れた本仮屋に、ベテランの技を仕掛けられることになりました。
後で本仮屋が困ることがふんだんに盛り込まれた家が作られることになりました。
例えば、
微妙に傾いた床~玉がゆっくりと転がる床~水平器では問題はない(事前に水平器に仕掛けをしておいた。)
怖い照明~ベッドルームの照明が決まった時間に怖い照明に切り変わる(照明の問題)
夜中だけ電源が切れる新品の冷蔵庫~何度も呼び出された電器店が細工した(電器店とは打合せ済み)
雨漏りスレスレの天井~雨漏り自体はないが壁に少しずつ染み込んで、時折水滴が顔の辺りに落ちるベッドルーム
遠近法を使った壁の様々なイタズラ(目の錯覚で疲れる・めまいがする)
寝ているとなぜかギシギシという音がする床(原因不明で逃げる予定)
真夜中にだけ怖い音がする廊下(原因不明で押し通す予定)
少しだけ反り返ったトイレ(見た目では分からないが長く使用していると疲れる)
本仮屋には改良した水平器を渡しておく(改良型水平器を利用して様々な斜めを作る(名前入りの高級品に見える水平器を渡して水平を説明しておく。)
この状態で家は完成ということで引き渡しが行われました。
そして、細部まで確認をしてもらい、各部屋の細部に渡り「了解済み」のサインをしてもらいました。
引き渡しをしてからしばらくすると、予想通り本仮屋が文句を言ってきました。
工務店としては、細部に渡るまで施主の指示通りに施工したものであり、細部に渡って「了解済み」のサインをもらっていること、施工者としての瑕疵はないことを理由に手直し等には一切応じませんでした。
さらに、本仮屋の家の近所に住む人の振りをして、その土地にまつわる怖い作り話も仕掛けました。
・大昔には首塚があった土地
・昭和の時代に放火心中事件があった場所などなど
それらは本仮屋が家を売りに出すまで続けられました。
さすがにその家に住むことに疲れ果てた本仮屋は家を売りに出しました。それも怖い土地である事故物件として安く売りに出されたそうです。(不動産部門の仕業)
後は、綺麗できちんとした家に戻して、通常の販売価格で売買されました。
本仮屋はまた賃貸のアパートに住んでいるようです。
隣近所の方々の迷惑にならなければいいのですが…。
腹立ちから痛快なお話へ
私が見た夢はここまでです。
私もそれなりに働いてきたので、腹が立つ人とたくさん会ってきましたが、ここまで酷いことを言う人に会ったことはありませんが、世の中にはこのような人がいるのではないでしょうか?
世の中には上から物を言ったり、人を自分の思い通りにしようとしたり、我を通し過ぎたりする人も多いと思います。
私が思うに、人の一生を通せば、そのような人たちには、今回の夢のようにバチが当たることも多いのではないでしょうか?嫌われるのもその一つでしょう。
人生温和に生きるのが一番いいのでは…?