私は、眠れない夜を過ごし、明け方に眠りについた時に夢を見ます。
その夢の中には面白い物が多く、一人で味わうのが勿体ないと思っています。
そこで、このブログで紹介しています。
今回のタイトルは、「クリームシチュー」です。
炭鉱労働者
俺は、炭鉱で働いている。
まあ、借金があるのでこの町で働いて返すしか道はない。
仕事が終わったら、町にある店で一杯やって眠るのが毎日の楽しみだ。
今日も一杯やっていると、同じ炭鉱で働く小谷から「この町を逃げ出そうぜ!」と持ち掛けられた。
これまでいろんなヤツから何度も誘われたが、そのたびにみんな死んでいった。
俺は臆病な男じゃない。銃の扱いだって自信がある。
ただこの町で働いて、こうやって一杯飲めるんだ、それ以上何を望むっていうんだ。
小谷が逃げようとしているのには訳があった。
好きな女が炭鉱を仕切っている「カウスキー一家」に横取りされそうになっているからだ。
その女は、その昔俺が好きだった女だ。しばらくは一緒に暮らしてもいた
俺が酒におぼれ、その女に冷たく当たってきたから小谷に乗り換えたってわけだ。
今回は、その女も小谷と一緒に逃げ出すと言っている。
逃げ出したって「カウスキー一家」に見つかって殺されるだけだっていうのに。
小谷は、イチかバチかの賭けに出ようとしているんだ。その女を連れて…。
その女が一緒だったら見過ごすわけにはいかない。手伝ってやらなきゃ男が廃る。
早速その夜炭鉱の町から逃げ出すことにした。
脱走
夜中の2時に、石炭を積んだ列車が出発する。そこを狙うそうだ。
街を出るところにトンネルがあって、そのトンネルの上から列車に飛び降りるっていうのが、小谷の考えだが、今までもこのやり方で何人も死んだ。
このやり方じゃあ、きっと今回も失敗に終わる。トンネルの上には「カウスキー一家」の見張りが立っている。
このやり方じゃダメだ。何か方策を考えなければ、3人とも無駄死するだけだ。
俺は、何とか小谷と女を無事に逃げ出させてやりたかった。女に幸せになって欲しかったんだ。
でもどうしたら逃げ出せる?
確かに夜中の2時の列車に飛び乗るのはいいアイディアだ。
ただ、トンネルの上から飛び乗るのはよくない。「カウスキー一家」の見張りもいる。
そこで俺は一計を案じた。
列車は通常はトンネルを通る。
しかし、実は線路には切り替えがあって、もう一方は「カウスキー一家」が住む町に繋がっている。
この切り替えを使うって寸法だ。
第一に、あらかじめ線路の切り替えを変えておく。
第二に、石炭を積んだ列車を「カウスキー一家」が住む町の方へ向かわせる。
第三が問題だ。
線路を切り替えられた列車は、再び元の線路に戻されるはずだ。そこを狙うんだ。
線路を切り替えると、トンネルの上の見張りも切り替えのところにやって来るはず。
その隙にトンネルに上っておいて、列車が元の線路を走ってきたときに飛び乗るって計画だ。
この計画には2つ大事な点がある。
一つは誰が線路の切り替えをするかってこと、もう一つは誰が見張りをやっつけるかってこと。
小谷と女は、トンネルの上への登り口に待機しておいて、俺が線路の切り替えをして、トンネルの上に戻ってきた見張りを二人でやっつけるって手筈だ。
小谷は、自分が線路の切り替えをすると言い出したが「女を近くで守ってやれ!」という俺の言葉が効いたみたいで渋々了解してくれた。
本当は「俺が一人で線路を切り替えて、やって来た見張りもやっつけて、小谷と女を逃がしてやろう。残った俺はなるようになるさ。」って考えていた。
知らない町へ
早速その夜計画が実行された。
俺は列車の切り替えのところで路線を切り替えた。
トンネルの上の男は、トンネルが下を通るまでが責任だから、きっと切り替えのところまでやって来るはず。そこが狙い目だ
後は、列車に小谷と女が列車に飛び乗って、この炭鉱を出てどこかの町で幸せになってくれれば
いい。
俺は死んだって構わない。
そこに馬の蹄の音が聞えた。
しかし静かな音だ。
じっと草むらで待っているとやって来たのは小谷だった。
「なぜここにいるんだ?女はどうした。」と聞くと、小谷は、
「あんたの考えはお見通しさ。一人だけカッコつけて。女はトンネルの登り口に待たせてある。二人で見張りをやっつけようぜ!」ときた。
もう後には引けない。二人でやるしかない。
二人で草むらで待っていると、今度は大きな蹄の音がした。
やって来たのは、やはり見張りのヤツだった。
俺と小谷は立ち上がり銃を向けて、見張りに発砲した。
見張りは「ウウッ」と言いながら、その場に倒れ、その上にみつからないよう近くの藁をかぶせておいた。
俺と小谷は急いでトンネルの登り口へと向かった。
トンネルの登り口にいた女と三人で登り口を登って、やって来る列車を待った。
やがて列車がやってきて三人で飛び乗った。
ここで計算違いが起こった。
列車には馬に乗った2人の男がついてきたことだ。
その男たちを確認しようと小谷が立ち上がった。
「人が乗っているぞ。」という声が聞こえ、男たちは銃を構えた。
そして銃撃戦が始まった。
小谷が一人を撃ち落としたが、もう一人の銃弾を受けて列車から転がり落ちてしまった。
女は「キャー」と悲鳴を上げたが、もうどうしようもない。
俺は慎重に狙いを定めて、もう一人を確実に撃ち落とした。
しばらくは俺も女も無言だった。
俺はハッと自分に戻り、列車から飛び降りる場所を探した。
しばらく走ると、草原に入り、カーブでスピードが落ちところで女の腕をつかんで飛び降りた。
すると女が「あそこの山裾には、死んだ私のおばあちゃんの家があるわ。」というので、その家に向かった。
疲れた足を引き摺りながら、その家にたどり着いたが、やはり誰も住んでいないようだった。
キッチンで酒を見つけた俺は、リビングの台に足を乗せながら酒を飲んだ。
女は、「相変わらずお酒ばっかりなのね。何か作るわ。」と言うとキッチンに立った。
その女がキッチンに立つ姿を見るのは久しぶりだった。
女も俺も小谷のことは言葉にしなかった。
しばらく待っていると女が湯気を立てている皿を俺の前に置いた。
俺の大好物のクリームシチューだった。
俺が笑うと、女も笑った。
「夢」って色々だあ!
私が見た「夢」はここまででした。
ここまでで完結しているのでしょうか?
私の「西部劇デビュー」の「夢のお話」です。
「俺」というのも初めてでした。
しかし、「夢」の中でも「俺」と言っていたので、そのまま使いました。
でも、書いていると何だか変。しっくりときません。
生まれてから「俺」と言ったことがないためか、書き言葉に苦労しました。
「夢のお話」では、高校生になったり、宇宙防衛軍になったり、ヒーローになったりしましたが、「西部劇」にまで登場するとは…。
ホント「夢」って色々ですね。